内需で生きている国なのに消費が確実に消える恐怖
地方はすでに不動産が余り、買い手がなく価値が激減しているのだが、この波はやがて都市圏をも襲いかかる。人口動態から見た予測では、2025年には東京都も人口減少に見舞われ、2033年には3戸に1戸が空き家になるのだ。
大都市部でも空き家が増え、よほどロケーションが良い場所でない限り不動産価格は下落する。不動産を資産として持っていた人は価値の減少に呆然とする日がくる。
人口が減るということは、生産活動もまた減少していくということを意味している。若年層が減っているのだから、労働人口が減り、企業は人が集められなくなる。当然だがIT技術者もまた不足し始めて、日本はより最先端から出遅れる。
少子高齢化という問題が解決しない限り、これらの問題が解決することもない。
日本は内需で生きてきた国だ。そうであれば、消費が急激に縮小して消えていくことに恐怖を感じなければならない。
少子高齢化は、若年層の消費をも減退させる
高齢者が消費しないのであれば若年層が消費すればいいではないかという話もあるのだが、少子高齢化は若年層の消費をも減退させることに気づかなければならない。
高齢者を支えるために社会保障費が膨らむ一方なので、政府は税金を上げることでそれを支えようとするからだ。すなわち若年層の税負担が重くなる。
そうすれば、当然のことながら若年層の消費の減退も避けられない。企業活動は停滞し、消費の減退に合わせて企業規模もまた必然的に減退する。
そうすると政府の税収も減少する。減り続ける歳入に困惑する政府は、いずれ事態を打開するために消費税を上げる。
ある時期から、政府も背に腹はかえられない状況に追い込まれて増税を止められなくなる。そうすると、それがまた消費を消失させてしまう。
負のスパイラルが延々と続く。
いかに少子高齢化が恐ろしい結果を生み出すのか、冷静に考えれば誰もが分かることだ。しかし、誰もこの問題に真剣に取り組まないし、議論もしないし、一体どうすればいいのかと憂う人もいない。
友人や同僚や家族の会話の中で、この問題で白熱の議論を繰り広げている人がいるだろうか。誰もいないはずだ。誰も興味がないのである。日本を立ち枯れさせるかもしれないのに、誰も関心すら持たない。