米株好調の理由その2:年金制度改革
2つめに、年金制度改革というのがあります。これが実は、ひとつ大きな要因となっています。
というのも1990年代後半に当時のクリントン政権が年金制度改革を強くを行いました。具体的に言うといわゆる「401確定拠出年金」です。
これは個人それぞれが年金を国に預けて後からもらうという形ではなく、個人それぞれが株式や投信、定期預金それらのものに積み立てて、そして自分の年金として受け取るというものです。
あるいはIRA、退職年金勘定と言ってこれは税金のメリットがあって、特定の口座に積み立てれば税控除を受けられて、退職した時の資金として積立運用を行なってくださいよというものです。
アメリカは株式投資の国と言われていますが、昔は必ずしもそうではありませんでした。
以下の黒の折線グラフを見てください。
この1985年にはまだ4%程度しか資産に対する比率というのがありませんでした。
それが1990年代後半にクリントン政権がこのIRAや401Kなどを強く推進したことで、多くのアメリカ国民が年金を自らの運用で、そして株式に投資するということになりました。
それによってこの黒の折れ線グラフがどんどん右肩上がりに伸びてきました。
これは古いデータなのですが、この時点で金融財産に占める割合というのは、16%にまで上昇しています。
今もまだまだ上昇していると思います。
この間、株価の調子が良かったということで、年金で運用している人の資産がどんどん増えていったという形になる訳です。
その結果、増えているということでどんどんお金が入ってきますし、お金が入ってくればまた株価が上がるという好循環に陥りました。さらにここで多くの国民が株式や投資信託といったものを持つことによって、株価に対する国民的な関心がすごく高まりました。
すると今度は、政治の方が株価の動きというのを非常に気にしなければいけなくなります。
米株好調の理由その3:政策金利の低下
今のトランプ大統領も株価の動きが支持率の生命線だということで、株価を上げる施策というのをどんどんを行ってきました。わかりやすいところでは減税というのがあるのですが、30数%あった法人税率を、21%まで一気に引き下げました。そのことによって税率を引き下げるということは、株主の取り分が増えるということなので当然株価は上昇します。
またそれだけではなくて、「金利の操作」というのも大きいです。この20年間30年間というところではこの政策金利、アメリカのFRBが決める金利なんですけれども、長期で見ればやはり右肩下がりに下がっています。
これより以前はもっと高かったのですけれども、どんどん下がって特にリーマン・ショック後に関しては限りなくゼロに近いところに推移しています。2016年に少しだけ上げたのですが、また経済が悪化してきたり、あるいはコロナによってまた0%というところまで下げてきました。

米 フェデラルファンド金利 月足(SBI証券提供)
金融の世界では金利が下がるということは、株価の上昇に直結します。したがって政策的にもどんどん株価を上げるものというのが増えてきました。
金利が下がってる中でハイテク企業の業績がどんどん上がっていくということになると、当然株価が大きく上昇するということになりますから、この3つによって米国株は上昇をしてきました。
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