時価総額はかつて国内3位も近年は低迷
任天堂の株価は長期的な下落が続いていました。かつてはWiiの大ヒットで時価総額は10兆円を超え、国内上場企業第3位まで上り詰めましたが、その後は業績が低迷し、ここ最近は2兆円前後の推移となっていました。

任天堂の業績推移
業績が低迷した理由は、いつまでもWiiの成功体験に縛られていたからです。
確かにWiiは全米をはじめ世界中で大ヒットし、「日本のアップル」ともてはやされました。しかし、任天堂のビジネスモデルはハードを売って稼ぐことであったため、一通りユーザーに行き渡るとまた新しいハードを販売しなければなりません。そのため、Wii Uを発売しましたが、残念ながら不発に終わり、コストばかりがかさむようになってしまったのです。
余談ですが、この点アップグレードのたびに買い替えを促すアップルのビジネスモデルは非常に優良です。
そうしているうちに、世界中でスマートフォンが台頭しました。先進国ではほとんどの人が所有し、ゲームを基本無料で楽しめることから、あっという間に据え置き型のゲーム市場を奪っていきました。任天堂が置かれる状況はますます厳しくなり、近年は度々赤字を計上する状況にまで陥ってしまったのです。
高まっていたスマホ対応への期待感
しかし、2015年3月にDeNAとの提携を発表すると、株価は瞬く間に上昇しました。それもそのはずで、これまでスマートフォンとは距離を置いてきた任天堂が、DeNAとの提携によりその殻を打ち破ると期待されたのです。

任天堂<7974> 週足(SBI証券提供)
『ポケモンGO』は、任天堂がスマートフォンへ積極的に進出する大きな契機となるものです。ポケモンの他にも、マリオやどうぶつの森など様々なコンテンツを抱えていて、スマートフォンとの相性は非常に良いと考えられています。
ちなみに、任天堂の地域別売上高は4割近くがアメリカです。日本は約25%で、アメリカは日本以上の巨大市場となっています。『ポケモンGO』が日本を差し置いてアメリカで最初に公開されたのはそのような理由もあるでしょう。