『ポケモンGO』が任天堂の業績に与える実際のインパクト
任天堂の株価を見る上で重要なのが、『ポケモンGO』の収益がどれだけ任天堂に分配されるかです。
実は『ポケモンGO』は任天堂が販売したものではなく、任天堂が32%を出資する株式会社ポケモン、そしてグーグルのスピンオフであるナイアンティックという会社が共同で開発・販売したものです。
ナイアンティックは、スマホを使った位置情報ゲーム『イングレス』を開発した会社です。イングレスの技術をもとに、ポケモンという強力なコンテンツを結びつけて今回の大ヒットにつながったと考えられます。
アプリの発行者は、このナイアンティックとなっています。したがって、任天堂が受け取る収益は全てということはなく、株式会社ポケモンおよびナイアンティックへの出資分からもたらされる持分利益など一部に限られます。
現在世界で最も売れているスマホゲーム『クラッシュ・オブ・クラン』を販売するスーパーセルの昨年のEBITDA(償却前営業利益)が約1,000億円です。
仮に、『ポケモンGO』が同程度の利益を生み出し、任天堂がその半分を獲得したとしても、増加するEBITDAは500億円にすぎません。任天堂の昨年度のEBITDAは約420億円ですから、合計920億円です。
企業価値はEBITDAの5~10倍程度が適正水準ですから、そのまま代入すると4,600~9,200億円となり、時価総額3兆円は高すぎる印象です。

任天堂<7974> 月足(SBI証券提供)
ちなみに、スーパーセルは先日ソフトバンクが中国企業のテンセントに売却しましたが、その時価総額は約1兆円にすぎませんでした。