日銀は真っ先に富裕層を救済した
嘘だと思うなら株価を見てみればいい。2020年3月19日の日経平均の終値は1万6,552.83円だった。6月2日の終値は2万2,325.61円である。5,772.78円、率にして35%近くも上昇したということになる。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
この35%の上昇というのは、1億円の資産の人には3,500万円、10億円の資産の人には3億5,000万円のプレゼントだったということになる。
特別定額給付金の10万円と比べるとどうだろうか。日銀が富裕層に与えたプレゼントは大したものだったと思わないだろうか。
別に日銀は富裕層を救済しようと思ったわけではない。日本経済を救済しようと思っただけだ。
しかし、結果的にそれは富裕層を真っ先に救済することになった。これによって、金融資産を持つ層と持たない層の格差が、またもや私たちの目の前で大きく広がった。
果てしなく広がる格差
資産を持っている者がさらに資産を膨らませ、持っていない層との格差を爆発的に広げる。そういう社会がコロナ禍でより鮮明になっているのが見て取れる。
コロナウイルスに関しては、治療薬も特効薬もまだまだ先の話なので、実体経済の立ち直りは遅いだろう。そうなると、ほぼすべての企業は「コスト」である人件費を削るためにリストラ・雇い止め・無給の一時休業を拡大していく。
全世界で低所得層の比率が爆発的に上昇することになる。先進国もそうなのだが、途上国はコロナを押さえ込む力もないので、もっとひどいことになるはずだ。
コロナ前から世界はすでに「1%の富裕層と99%の貧困層の国」と言われるようになっていた。たとえばアメリカは、上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多い。
これがもっと進んで、0.1%の富裕層が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多くなったとしても不思議ではない。
各国政府はどこの国も経済を崩壊させないために、莫大な金融緩和や財政出動を行っており、たった2ヶ月でもう財政的な余裕を喪失してしまっているので、半年後から1年後にやってくる未曾有の不況では、もう貧困層を救う余力はなくなっているかもしれない。