なぜトランプはドル高を牽制しないのか?
さて肝心の東京株式市場についてですが2017年という長いスパンで見た場合、青天井と一概に言えない不透明要因があります。すでにご察しのとおり為替です。
1月6日大きな話題(ニュース)になったのがトランプ次期大統領がツイッターに書き込みしたトヨタ・バッシングです。経済団体の新春会合で建設中のメキシコ新工場について記者から尋ねられた社長が建設継続を明らかにしたのですが、それを見たトランプはメキシコで作った車をアメリカに輸入するなんてとんでもない、高い関税をかけるとしたのです。
トランプが大統領選で勝てたのはリーマンショック以降、格差拡大で疲弊した白人労働者階級の支持を集めたからだと言われています。メキシコとの間に壁を作るという公約も、裏を返すと移民に国内労働者の仕事がいかに奪われたかを示唆しているようなものです。
トヨタは即座に、すでに米国内に10の工場を持ち13万6千人の米国人を雇用しておりメキシコ工場は米国人の雇用を奪うことにはならないと声明を出しました。今後の展開に注意していきましょう。
話をもとに戻しますが、米国製造業のためには輸出競争力の面でドル安のほうがメリットがあるのは論を待ちません。ドル高円安が続けば米国内の労働者の雇用は不安定になるかもしれません。
ただ現実としてドル円の動きはトランプ当選後、一貫してドル高円安に動いており、そのことを彼がけん制する言動はありませんでした。おかしいですね。なぜでしょうか。
ドル高を何故彼がけん制しないかというと、彼の政策は再び世界のお金が集まる偉大な米国を復活させるというものだからです。ドル安では米国に魅力はありません。世界のお金が米国に流入し米国国民を豊かにさせるものなら大歓迎です。
不動産王と言われるぐらいの資産家ですからデフレよりインフレを目指していると考えるのが自然でしょう。
というわけでツイッターなどでけん制はするものの米国からの排除は彼はしないはずです。TPPの代わりに二国間通商条約を目指すとしていますが、その中で外国製品に対して高関税をかけるなどしていくのかもしれません。
米国に直接投資を行う企業は大歓迎です。大統領選勝利後、面会したソフトバンク社長が5.7兆円の直接投資を表明したら賞賛したことは記憶に新しいです。