バフェットも苦しんだ「バリュートラップ」
絶対的な安さを求める投資で気をつけなければならないの「バリュートラップ」です。バリュートラップとは、割安な水準で買ったと思っても、いつまでたっても株価が上がらないことを言います。株価が上がらなければ、時間を無駄にしてしまいます。
バフェットも、6年間投資したIBM株からほとんど利益を得られないまま売却しています。その間もPERは10倍前後と割安感がありましたが、一方で成長性が低かったことから株価は上がらなかったのです。バリュートラップを避けるためには、駄目だと思ったら潔く撤退することも必要でしょう。

INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORP<IBM> 月足(SBI証券提供)
もっとも、ただ上がらないだけならまだマシです。長期投資でまず考えるべきはお金を減らさないことであり、割安な価格で買うことは下値余地を限定するという意味だけでも有益なことです。
ただし、企業の状況は刻一刻と変化します。上がらない株をいつまでも持っていると、その間に価値が失われてしまう可能性があります。例えば、今は業績好調だとしても、新たな技術の登場によりその優位性が今になくなってしまうことだってありえます。利益が減少すると、割安どころか割高となり、下落余地は大きくなってしまうのです。
投資家に求められる「銘柄選択」の力とは
こうならないためにも、鍵を握るのが銘柄選択です。簡単に企業の根幹が揺らいでしまうような企業はいくら割安だからといっても安心して持ち続けることはできません。
逆に、簡単には破られない「経済の堀」を持ち、継続的に利益を積み上げられる企業なら、株価が上がらない間も価値はどんどん増え続けます。価値に市場が気付いた時に、株価は鬱憤を晴らすかのように大きく値上がりするのです。
バフェットも次のように言っています。
長期投資の買いの原則をシンプルに表すと、平均以上に素晴らしい企業を、平均以下の価格で買うことに尽きます。
チャンスは多くないかもしれませんが、多くの企業を調べ、市場のタイミングを待つことで、やがてそのような企業が目前に現れます。それまでの粘り強さが長期投資家には求められるのです。