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ミニストップ、レジ袋有料化実験へ。なぜ世界は急速に脱プラスチックに動いたのか

生態系への影響、クジラやウミガメに被害が…

プラスチックは、いくら小さくなっても、分解してなくなることはありません。しかも、小さなプラスチックは、海の生き物がエサと間違えて食べてしまうことがあり、海の生態系への影響が心配されています。

マイクロプラスチックは、人間の生活圏に近い海域より沖のほうに多く、このことは、すでにこの汚染が広く外洋に及んでしまっている可能性があることを意味していると言われています。

比較的大きなプラスチックごみは岸の近くに多かったのに対し、マイクロプラスチックが遠く沖合にまで広がっていることがわかっています。

その仕組みは、砂浜などに打ちあげられたプラスチックは、太陽の光にあたったり砂にもまれたりして、小さく砕けていき、その小さな破片になったプラスチックは波をかぶって沖に出ます。小さなプラスチックは浮きあがりにくいので、岸に押しやる波の力を受けにくく沖には戻ってこないで、遠く沖合まで散らばっていきます。

海の生き物に必要な栄養である動物プランクトンが、植物プランクトンと間違えてマイクロプラスチックを食べてしまっていることが、最近の研究でわかりました。この動物プランクトンを魚が食べ、その魚をさらにサメやクジラのような大型の生き物が食べることで、海の生き物全体にマイクロプラスチック汚染が広がっていく可能性があると言われています。

動物プランクトンが栄養のないマイクロプラスチックを食べて満腹になれば、発育不足になって生態系のバランスがくずれることも指摘されています。

さらに、マイクロプラスチックが生き物の体内に入れば、それと同時に表面についた有害な物質が取り込まれる可能性も指摘されていて、実際に、水鳥などの体内から、プラスチックや、そこから溶けだしたとみられる有害物質がみつかっています。

海洋ごみの影響により、魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしています。このうち実に92%がプラスチックの影響、例えば漁網などに絡まったり、ここまで述べたとおり、ポリ袋を餌と間違えて摂取することによるものです。

<プラスチックごみが海洋生物の命を奪っている>

プラスチックごみの摂取率は、ウミガメで52%、海鳥の90%と推定されています。プラスチックごみが、直接海の生物の命を奪っていることが見て取れます。

今年4月、イタリア西部サルデーニャ島の浅瀬に先週打ち上げられたマッコウクジラの死骸の胃の中から、22キロ分のプラスチックごみが見つかったことを、CNN伝えています。クジラは妊娠していて、子宮の中の赤ちゃんも死んでいたそうです。
※参考:https://www.cnn.co.jp/world/35135095.html

さらに年5月にCNNでは、イタリア南部シチリア島の海岸に打ち上げられた若いクジラの死骸の腹が、プラスチック製の袋などで膨れ上がっていたことを報じています。
※参考:https://www.cnn.co.jp/world/35137251.html

少し古い映像になりますが、2015年南米コスタリカ沖で、オリーブヒメウミガメの鼻からプラスチック製のストローを10分近くかけて研究者らが引っ張り出す動画が紹介されています。
※参考:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/081900226/

どれもショッキングな映像ばかりで、私たちが出すプラスチックごみによる被害であることを認識しなければなりません。

Next: 日本は生産量世界第3位、プラスチックごみによる経済的損失が拡大中

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