ゴミの受け入れを東南アジアに求めるのだが…
「中国ショック」とも呼ばれるゴミ輸入禁止は、米国の3分の1以上の州に影響が出ると言われ、世界各国に影響を及ぼしました。もちろん日本への影響も大きいものとなりました。
2018年に学術誌『Science Advandes』に発表された論文によれば、中国の輸入禁止により、2030年までに1億2,000万トンを超す廃プラが行き場を失うとされています。
その行き先として東南アジアのタイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどに向かうことになりました。
東南アジアの多くの国自身も、中国にごみを輸出している状況で、そのうえ東南アジアの国々は中国よりはるかに面積が狭く、ごみ処理場が遅かれ早かれ一杯になることは容易に想像でき、すでに各国の処理能力を超えてしまいました。
今年5月31日、フィリピンは、カナダからリサイクル可能だと偽られて運び込まれた廃棄物を積んだコンテナ69個を送り返すという事態が起こりました。
カナダの企業が「リサイクル可能なプラスチック」として持ち込んだのですが、2014年に税関職員がコンテナ内を調べたところ、大半が大人用おむつなどを含む家庭ごみと判明し、ごみが入ったコンテナは港に放置されてきました。
カナダ側は費用を負担してごみを引き取るための船を準備していると明かしたものの、フィリピン側は待たずに送り返したということです。
東南アジアに行き着いたゴミは海の中へ…?
これには、フィリピンなど東南アジアでごみの不法輸入が問題化していることがあります。
「中国ショック」の影響です。
中国が2017年末にプラスチックごみの原則輸入禁止に踏み切って以降は、処分先に困ったカナダや米国などのごみが大量に持ち込まれ始めました。
マレーシア政府も5月末、計3,000トンの不法ごみを日本を含めた送り出し国に返すと発表しています。
「豊かな国のごみを貧しい国に送っていいという発想は受け入れられない…」。マハティール首相の批判メッセージですね。
現在、海へ流入している海洋プラスチックごみは、アジア諸国からの発生によるものが、全体の82%を占めるとしていますが、何か関係があるのでしょうかね。