自動車がコモディティ化する!?
冒頭で申し上げました通り、テスラがトヨタ自動車の時価総額を抜き、自動車メーカートップに立ちました。

トヨタ自動車<7203> 日足(SBI証券提供)

TESLA INC<TSLA> 日足(SBI証券提供)
トヨタがこのようにはずっと横ばいで株価が推移する中、テスラがここ最近、特に新型コロナショックの後、株価を上げて500円から1,500円ぐらいに上がって3倍になりました。
時価総額に関してはトヨタが今22.5兆円ぐらいありますが、テスラが29兆円ということで、逆転してしまったということになります。
しかしながら、売上に関してはテスラはトヨタの10分の1しかありません。バリエーション的に考えたら、やはりテスラはどう考えても割高といったところではあります。
ただ一方で、将来に対する期待というものが込められたものでもあります。テスラというと電気自動車や自動運転車モデル3などの量産を目指していまして、実際に自動運転車を本格的に売っているのはテスラだけです。
しかも、これまでは黒字にならなくて苦しんでいましたが、直近の四半期が黒字化するなど明るい兆しも見えつつあります。
これが今後、大きく変革していくにあたって、自動車業界のAppleになるのではないかと見られています。電気自動車は部品を組み立てるだけなので、考えようによっては、今後はかつてのPCやスマートフォンのような製品になってしまうのではないかということが考えられます。
これから自動車業界で起こることとしては、電動化、自動運転化、つまりコモディティ化を意味します。このコモディティ化というのは、部品や設計図さえあれば誰でも作れてしまうというような状況です。
実際、スマートフォンなども中国の会社でも簡単に真似をして、AppleのiPhoneのパクリのような商品を出してしまえたというようなことがあります。
蓄積した技術とブランド力が大事
つまり、今後は自動車も、PCやスマホのようになってしまうのではないかということが懸念されています。その中で生き残っていくためには、やはり競争力がないといけません。
日本の電機メーカーも、富士通やNECなどがいろいろな製品を作っていましたけれども、多くは撤退してしまいました。これはパソコンがコモディティ化してしまったからですし、かつてガラケーなどでも各社が出せていたのですが、もはや日本メーカーはほとんど残っていなくて、iPhoneと中国製のAndroidというような状況になっています。
自動車産業に関しても、これと同じようになってしまうのではないかと考えられます。
一方では、自動車というと人の命を預かるものですから、そう簡単に動かないというような考え方もあります。
そこで重要になってくるのは、やはりこれまでに培ってきた技術というのは間違いないわけです。
安全性に対してももちろんですし、途中で故障があると非常に困るものなので、そのノウハウを蓄積された自動車メーカーというのは大切なわけです。
一方で、多少の技術は持っているかもしれませんが、中途半端な位置づけの自動車会社というのは、なかなか自動化の波にも付いていけず、成長もなければ、どんどんシェアを落として衰退してしまうというような危険性があります。
そんな中で私たちが投資すべきなのは、もちろん自らのブランド力をもって、自らの製品を販売し続けられる会社です。
あるいは、iPhoneのカメラにはソニーのセンサーが採用されていますが、独自の技術を持った会社というのは部品の供給という形になるかもしれませんけれども、そこで生き残っていく可能性もあるわけです。