変化3:仮想通貨がフィアットマネーに対して大きく上昇した
最後の3番目は「仮想通貨の台頭」です。これも2017年に巻き起こった重要な変化と言えます。
例えば、ビットコインの値動きが今度、どうなるかは誰にもわかりません。暴落するかもしれませんし、暴騰するかもしれません。しかしながら、ビットコインに限らず、仮想通貨は世の中を変えようとしていることはほぼ確定的だと思います。
仮想通貨の価値が上昇しているということは、世界各国の中央銀行が発行しているフィアットマネー(法定通貨:円、ドル、ポンド、ユーロ、人民元等)の価値が下落していると捉えなければいけません。
これは何も仮想通貨だけの話ではありません。株式の価値が上がっても、フィアットマネーの価値は下がります。
シーゲル博士の過去200年の研究によれば、フィアットマネーは平均して年2%ずつ価値が下落していることが明らかになりました。フィアットマネーは、長期的には頼りない存在なのです。
そして、密かに私は、仮想通貨は長期的にはもっと違った変化を巻き起こすと推測しています。
この3番目の話は1番目と2番目とも関係しています。50年、100年という超・長期的には、国家の力が相対的にどんどん小さくなっていき、グローバル企業が国家を上回る存在になっていくでしょう。
既に世界各国の歳入と企業の収入ベスト100の中に、70社もグローバル企業が入っている状況になっています。
特に、近年、そのグローバル企業の中で勢い良く勢力を拡大してきているのが、ハイテク企業となっています。
そして、ハイテク企業の力が増してくると、各国の中央銀行が発行しているフィアットマネーよりも、人々はハイテク企業が発行する紙幣を信用するようになるかもしれません。将来的に「Amazonコイン」「Googleコイン」「Appleコイン」などが流通している可能性はありえると思います。
世界時価総額ランキングは、上から順番にアップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックとなっていて、なんと上位5位がすべてハイテク企業です。さらに上位10位を確認しても、ほとんどハイテク企業が占領している状態です。
<世界時価総額ランキング2017年11月末(最新)>

出典:世界時価総額ランキング(Think 180 around)
これらのハイテク企業は、すべて事業実態が伴っています。売上高、純利益、営業CFの増加率とある程度連動しながら、株価が上昇してきています(2000年前後の「ドットコムバブル」とは根本的に状況が異なる点にご注意を!)。
すると、これらのハイテク企業が、国家よりも大きな存在になっていく可能性が高い。なぜなら、国家は年率20%、30%以上で成長するのは無理だからです。年間2%の成長でも実現できていない先進国が多い状況なので、長期的には、国家のパワーが相対的にかなり小さなものになるのは目に見えています。
ビットコインという単一の仮想通貨だけを眺めていても、なかなか真実は見えません。しかしながら、「国家の力が相対的に低くなってきている」という視点に立てば、仮想通貨が人気化する理由も理解できます(ただし、今の各種仮想通貨の価格が妥当かどうかはわかりません)。
「インターネットは通貨の価値を変えようとしている」これはジム・ロジャーズの言葉です。
ビットコインがバブルかどうかという議論はさておき、通貨の価値が変わろうとしているという現象そのものは、真面目に受け止めなければいけません。
今、私たちは、国家の信用力が低下するという大きな流れの中で生活しています。