商社が割安な理由
株価の下落局面においては、インデックスを購入しても良いのですが、私がお勧めするのは個別の優良銘柄への投資です。バリュー株投資では企業の本質的な価値を基準に投資を決定しますが、インデックスには玉石混交の銘柄が含まれるため本質的な価値が分からず、割安かどうか判断が難しいからです。
3月には、三菱商事<8058>や三井物産<8031>が、資源安の影響により会社創設以来初の最終赤字を計上しました。しかし、商社は資源だけでなく様々な事業に投資を行っており、一時的に赤字になったからと言って、その後の回復は自明でした。
それまで、商社はPER1桁の割安な水準に放置されていました。私は資源価格変動リスクを織り込んだ評価と考えていたのですが、赤字でもさほど株価が下がらなかったことで、割安な水準は「特に理由のないもの」ではないかと考えるようになりました。
その後、三菱商事は年内の安値から約6割、三井物産は約4割上昇し、PERも2桁を回復しました。割安に放置されている理由を突き詰めて考えることの重要性を改めて思い知らされる動きとなりました。
マイナス金利が銀行に与える影響
2月には、日銀が国内初のマイナス金利を導入し、銀行株が大きく値下がりしました。低金利により、各銀行の貸出や有価証券運用は苦しい状況に陥っています。
しかし、私が度々取り上げた三菱UFJ<8306>は、低金利にあえぐ国内事業からの脱却を図り、海外や資産運用ビジネスに幅広く事業を展開していました。そのため、マイナス金利が業績に与える影響はさほど大きくなかったのです。
幸運にも、アメリカ大統領選挙後の「トランプ相場」が出現すると、アメリカへの事業ウェイトを高めていた三菱UFJの株価上昇率は他のメガバンクを上回り、マイナス金利導入直後からの上昇率は7割近くにものぼりました。
マイナス金利で低迷する銀行株は買い時か? | つばめ投資顧問
このように、ネガティブなニュースで株価が大きく値下がりした時は、バリュー株式投資における大きなチャンスです。もちろん本当に致命的なこともあるので、きちんと調査する必要がありますが、それをチャンスと見られるかどうかが投資家の腕の見せどころです。